読売巨人軍・原辰徳監督(53)が2006年に元暴力団員らに女性問題で脅され、1億円を支払っていたことが、週刊文春の取材で分かった。
発端は、原監督が現役だった24年ほど前、遠征先のホテルの女性スタッフと“深い関係”になったこと。
交際を続けるなかで女性を傷つけてしまう“トラブル”が生じたのだが、一連の事情を女性は日記につけていた。
その日記が暴力団関係者の手に渡ったのだ。

2006年8月、2回目の巨人軍監督に就任していた原監督のもとに元暴力団員であり、現役プロ野球選手の父親を名乗るKから電話が入った。

「原さんにとって非常に大事な話がある。あなたの昔のスキャンダルだ。至急会って話してもらった方がいい」

原監督が面会に応じると、Kは仲間のHを連れて、巨人の遠征先の熊本に現れた。

Kは女性の日記のコピーを示し、

「原さんが野球界から居なくなったら大変なことになる。表に出ないように私が解決するので、私に任せなさい。それには金がいる」

と言って、1億円を要求した。かつてKは東京に本拠を置く暴力団に所属しており、その後、破門になった。小指は欠損している。

原監督は知人である会社経営者から金を借りるなどして、2日間で1億円を用意した。
K側は金と引き替えに、その場で日記をシュレッダーに掛け、原監督のマネジメント会社の名前が宛名になった領収書も切ったという。

原監督は恐喝の被害者ではあるが、球団や警察には相談していない。

原監督自らが登場する警視庁作成の「暴力団追放」ポスター(2009年5月~11月まで東京都内のJRや私鉄駅構内に掲示)には、「暴力団を恐れない」「暴力団に金を出さない」「暴力団を利用しない」というキャッチフレーズとともに、「暴力団のことで困ったら、すぐ相談」と書かれているが、自らはそれを行っていなかったということになる。

この件について読売巨人軍および原監督に取材を申し込むと、桃井恒和社長と読売新聞グループ本社取締役経営戦略本部長でもある山口寿一常勤監査役らが取材に応じた。

「本人も非常に浅はかな対応をしてしまったと言っているが、要求された金額が監督が用意できる限度額だったため支払いに応じた。Kは元暴力団員だが、20年以上前に足を洗ったと聞いている。監督の頭の中には暴力団と関係があるなどという考えはまったくなかった」(山口常勤監査役)

巨人軍はこの恐喝事件を2009年に把握し、その時点で「お金は払うべきではなかった」と監督を厳しく注意したという。
ただし、原監督は被害者であり、加害者であるKやHは反社会的勢力ではないとの認識を持ったため、何の処分もしなかった。

2011年10月に暴力団排除条例が施行され、「暴排」意識が国民的に高まっている中、「巨人軍は紳士たれ」を標榜してきた球団が、この問題をどう総括するかが注目される。
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