4~6月期の実質国内総生産(GDP)がマイナス成長になった大きな要因は消費の低迷である。


だが、大手メディアの報道では、ほとんど消費増税の影響について触れられていない。
なぜスルーされるのだろうか。

前期比で0・4%減となったGDPの内訳を寄与度でみると、民間消費がマイナス0・4%、民間設備などがプラス0・1%、公的消費・投資がプラス0・2%、純輸出がマイナス0・3%で、民間消費と純輸出が悪かったことが分かる。

純輸出は中国の景気後退など海外要因であることは報じられている。
一方、消費は2014年4月からの消費増税の影響が大きいが、この点がメディアの報道ではすっきりしない。
あるテレビ局では、消費が減少している理由を「将来への不安があるからだ」と説明していた。
本当だろうか。

こうした説明は、消費増税を推す人からよく言われていたことだ。
将来不安をなくすには社会保障の充実が必要で、そのためには消費増税すべきだというロジックだ。

また、消費増税を推進する人は、「もう高度成長ではないので買いたいものがなくなり、景気対策をしても消費は伸びない」とも言っていた。
これは政治家もしばしば使うロジックで、「消費増税しても消費は動かないので、その影響も軽微」というものだ。

ところが事実はまったく異なった。
消費増税により可処分所得が減少し、消費も減ったのだ。
標準的な消費理論は、現在と将来の可処分所得を見込んで、その一定割合が消費になるというものだ。
この場合、将来の所得といっても、せいぜい2、3年先までであり、現在の可処分所得が与える影響の方が大きい。

このような標準理論の説明力は高く、現在まで続いている消費減少をよく説明している。
それにも関わらず、17年4月からの消費再増税を何が何でもやるために、大手マスコミでは、消費増税の悪影響をあまり報じていないのではないだろうか。

新聞業界は表立って消費増税に賛成はしていないが、消費増税を前提とした軽減税率の導入には賛成している。
与党内でも公明党が軽減税率には熱心だ。軽減税率のわかりやすさが、推進する理由であろう。

もっとも、軽減税率は金持ちにも優遇策となるので、軽減税率ではなく、低所得者への消費税還付や給付金のほうが、理論上は優れているといわれている。

消費税率は14年4月に8%になったが、今のところ、軽減税率の話は動いていない。
17年4月に10%への再増税が予定されているが、軽減税率制度も17年度からの導入を目指している。
つまり、10%への再増税がなくなると、軽減税率もなくなる可能性があるのだ。
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