NHKの正体

25日、NHK経営委員会が次期経営企画案を全会一致で議決。
これにより来年10月から、受信料が月額で最大120円値下げとなる見通しとなった。
NHKの受信料がテレビのみの対象となった1968年以来、初めての値下げとなる。

そもそもNHKの受信料とは何か。

放送法64条に「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定められており、テレビのある世帯はNHKと受信契約を締結しなければならないことになっている。


そして契約をした世帯は、年間14,910円(一世帯、地上契約、12ヶ月前払い割引込み)を支払わなければならない。

これがNHKの受信料だ。


だが、この徴収の対象となるのは、実はテレビがある世帯だけではない。
ワンセグ機能が搭載されている携帯電話やカーナビ、さらにはワンセグ受信アダプターをつけたゲーム機、ニンテンドーDSなどの所有世帯も含まれるのだ。


ひとり暮らしならば、いまや部屋にテレビを置いていない人も多いだろう。
だが、通話をする目的でケータイを買ったにもかかわらずワンセグ機能が搭載されていたら、NHKに受信料を払わなければならない。


どこか理不尽だが、根拠は以下のとおりだ。


「NHKの放送を受信できる携帯電話やカーナビは、放送法第64条第1項で規定されている『協会の放送を受信することのできる受信設備』であり、受信契約対象となります」(NHK広報局)

しかも、支払う金額は受信設備――、つまり大型ハイビジョンテレビであろうがニンテンドーDSであろうが一律。
NHKの電波が受信できる限り、どんな「受信装置」であっても“義務”として前記の金額を徴収されることになる。

この認識は、放送事業を管轄する総務省も同じだ。


「お気持ちは理解できますが、放送法上、NHKの受信料はどのような機器で視聴しようが一律に支払うべきもの。受信料は、公共放送を社会の中で維持していく負担金という位置づけですから、いかなる受信装置でも基本は“ワリカン”です」(総務省・放送政策課)


つまり受信料とは、NHKの番組(コンテンツ)を視聴するために支払う対価ではないということ。
公共放送を維持するために国民が負担するお金なので、「オレ、テレビ観ないから」という言い訳も通用しないことになる。


NHKの受信料制度は1950年に始まった。
1967年にはラジオ受信料が廃止されテレビに一本化、後に衛星契約の追加、カラー契約と普通契約の区別廃止など、何度か改正され現在に至っている。


ワンセグやインターネットのように受信方法が多様化した今、「一世帯一律で年間で14,910円」は、はたして時代に即しているのだろうか。