1月4日初回放送となるNHK大河ドラマ『花燃ゆ』が、別の意味で燃えそうだ。

ヒロインは「吉田松陰の妹」で、演じるのは井上真央。
脇を固めるのはスラッと長身で端麗な顔立ちの俳優ばかりで、別名「イケメン大河」だという。
井上と男性役者がペアになった番組ポスターは4種類作られたが、そこに躍るキャッチコピーは「幕末男子の育て方」。
井上が時に厳しく(高良健吾にビンタ)、時に愛情深く(伊勢谷友介の頭をナデナデ、東出昌大を膝枕)男たちを立派な“幕末男子”に育て上げる様を描くようだ。


制作側は青春群像劇としての「学園ドラマ」要素や、破天荒な松陰を家族が右往左往しながら支える「ホームドラマ」要素も盛り込み、リラックスして見られる作品にしたいと意気込んでいる。
「幕末版『男はつらいよ』と思っていただければ」とのことだが……。


キャストや構想が明かされるにつれて、ネット上では異論が噴出。男女問わず、


「大河にイケメンなんて求めてない」
「大河ファンはリラックスできる内容を求めてるのかな? 少なくとも私は、スケールの大きい歴史ドラマを見たい」
「NHKは幕末版『花より男子』を制作するつもりなのか」


等々、不安の声が大きい。
松陰の妹が歩んだ波乱万丈の生涯を描く「女の一代記」ならば、大河よりもむしろ朝ドラ向きとの見方もある。
また、2011年の『江~姫たちの戦国~』が荒唐無稽な脚本で不評だったことを振り返って、「史実に詳しく載っていない人物が主人公だと、歴史解釈としておかしい点すら『ファンタジー大河です』と開き直ってしまうかも。
このやり方は禁じ手じゃないか」という苦言も。


ここ数年、視聴率の急降下が目に余る状態だったNHK大河枠だが、昨年の『軍師官兵衛』は全50話の平均視聴率が関東地区15.8%、関西地区18.2%で多少盛り返したといえる。
同作の中村高志チーフプロデューサーは「王道の大河ドラマの復権を目指した」とコメントを残しているが、わずか一年で王道から亜流に逸れてしまうのも勿体ない。


恋愛要素やイケメン俳優起用が女性視聴者の獲得につながる、という思い込みこそドラマ界全体に蔓延るファンタジーなのだが、果たして『花燃ゆ』は視聴者にどう受け止められるだろうか。