安倍晋三首相の電撃解散で、風雲急を告げる永田町。早くも来年の自民党総裁選をにらんだ蠢(うごめ)きが始まった。

まず、目立つのが石破茂地方創生担当相の変な張り切りよう。
11月15日、地元・鳥取に戻った石破氏は「予算編成のためにも、投票日は12月14日や21日が取りざたされているが、早い方がより良い」と、勝手に選挙日程を『確定』。
その前日には、記者会見でこう述べた。


「この年末に近い時期に、多くの税金を使って国民に審判を仰ぐわけだから、解散する側、それを支える与党として、何を問うかを明確にしないと、投票に行く側もたまらない」


さらに、「衆院選争点の明確化を」と、まるで野党のような注文をつける始末だ。


自民党幹部は「来年9月の総裁選のことを早くも考えているのだろう」と石破氏の真意をみる。
仮に衆院選で安倍政権が勝っても、来年は集団的自衛権法制などで国会審議は波乱含みであるほか、いまは日銀の追加緩和で潤っている株式市場もどうなっているかは分からない。
「支持率も下がれば、対抗馬を擁立する動きが始まる。
森喜朗元首相とも仲直りし、長老の支持も得られる石破氏が、その第一候補になる」との見立てが広がっているのだ。


首相は、石破氏の決起を抑えこもうと、閣内に封じ込めたはず。
だが、自民党のベテランは「石破はそんな殊勝なタマじゃない。5年前に前例がある」と指摘する。


2009年、農相の立場にあった石破氏は閣内にいながら、与謝野馨氏とともに、当時の麻生太郎首相の退陣を促した経緯があるからだ。
さかのぼれば約20年前の政治改革騒動で離党、自民党に復党、額賀派を脱藩と、“不義理”は枚挙にいとまがない。


一方、ポスト安倍から一気に転落したのが谷垣禎一幹事長だ。
野党総裁として民主党政権と協力して手掛けた消費税10%への引き上げを安倍首相が引っくり返しても「総理に従う」「解散は総理の専権事項」と忠犬ぶりを発揮。
消費税は予定通り引き上げるべき、と主張していた勢力の大きな失望を買った。
「『加藤の乱』でも泣いた人だ。骨がない。14年たっても人間は変わらない」と、谷垣氏を担ごうと考えていた勢力からもタメ息が漏れる始末だ。


つい2カ月前までポスト安倍の有力候補だった小渕優子前経産相は政治資金問題で沈んだ。


まさに政界一寸先は闇である。