先日、北海道岩見沢市で行われたロックフェス「JOIN ALIVE」で、ジャニーズとしては初の野外フェス参加を果たしたTOKIO。


ウルフルズやACIDMAN、ゲスの極み乙女。ら幅広いアーティストが参加し、来場者の年齢も趣向もさまざまだったが、TOKIOがステージに上がると立ち入り禁止区域にまで人があふれるほどの大盛況。
ネット上には、実際にフェスに参加した人の「TOKIOの曲、よかった!」「男でも充分楽しめた」といった声や、「ジャニーズだけで野外フェスをやってくれたらいいのに!」という願望まで飛び出した。

そもそもジャニーズは、嵐とSMAPという二大国民的アイドルグループを擁する。
この2組が出演するだけでもフェスは大盛り上がりになることが約束されたようなものだが、夏フェスらしくジャニーズJr.のみのフレッシュなステージや、マッチ先輩や少年隊などの往年のファンを楽しませる渋いステージ、はたまたダンスミュージックを集めたDJコーナーなど、FUJI ROCK FESTIVALのようにステージ割りをしても面白そうだ。
──この夢のようなイベントがもしも行われれば、芸能史に残る伝説となりそうだが、しかし、ジャニーズフェスが開催されることは決してないだろう。

その理由は何か。
多忙なタレントたちのスケジュール調整ができないからか、あるいは膨大なファンを収容する場所がないからか。そうした物理的な問題もあるだろうが、もっとどうにもならない最大の事情がある。それは、ジャニーズにおける“派閥”の問題だ。


ジャニーズ専門グラビア誌「J-GENERATION」(鹿砦社)2014年7月号の「知っておきたいお役立ち知識 ジャニーズ基礎のキソvol.1 派閥ってなに?」の記事によると、ジャニーズ事務所は、ジャニー喜多川社長の姪にあたる藤島ジュリー景子氏が率いるジュリー派と、SMAPをイチから育て上げたチーフマネジャーの飯島三智氏の飯島派に分かれているという。
現在、ジュリー派に属するのはTOKIO、嵐、V6、関ジャニ∞、KAT-TUN、NEWS、Hey! Say! JUMPで、飯島派に属するのはSMAP、Kis-My-Ft2、Sexy Zone、山下智久、A.B.C-Zと言われ、KinKi Kidsとタッキー&翼はジャニー社長の直轄なのだとか。
  
派閥といっても、しょせんは事務所内部の話では?
そう思う人もいるだろうが、この派閥問題の根は深く、じつはバラエティやドラマ出演のキャスティングにも大きな影響を及ぼしているほどなのだ。

たとえば、キムタクや香取慎吾などが主演を務めるドラマでいわゆる“バーター”として出演するジャニーズの若手は、同じ飯島派のKis-My-Ft2のメンバー。
『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)や中居正広がMCを務める『中居正広のミになる図書館』(テレビ朝日系)や『UTAGE』(TBS系)などの深夜バラエティにゲスト出演するのも、同じ飯島派のメンバーのみ。
逆に、『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)といったKis-My-Ft2による深夜帯の小さい冠番組にSMAPがゲスト出演することはあっても、ジュリー派である嵐のゴールデンタイムのバラエティ『VS嵐』(フジテレビ系)や『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)などに出演することは、一切ない。
そもそも『VS嵐』にはフジテレビで新ドラマが始まる際に番宣でキャストたちが出演することも少なくないが、『HERO』放送開始日近くに『VS嵐』に出ていたのは、映画のプロモーションを兼ねた、同じジュリー派の関ジャニ∞だった。
  
しかも、この派閥の住み分けは、年々深刻化している。
それがもっとも露骨に現れているのが、各局が放送する、生放送の大型音楽特別番組だ。

7月12日に生放送された『THE MUSIC DAY 音楽のちから』(日本テレビ系)では総合司会を嵐の櫻井翔が務めていたが、11時間総勢約70組ものアーティストのなかでジャニーズ所属タレントの出演者は、嵐、KAT-TUN、関ジャニ∞、TOKIO、NEWS 、V6と、ジュリー派所属グループのみ。
一方、SMAPの中居正広がMCを務めた8月2日の『音楽の日』(TBS系)では、13時間総勢100組以上が登場したが、ジャニーズで出演したのはSMAP、Kis-My-Ft2 、Sexy Zone、舞祭組(Kis-My-Ft2)、山下智久、A.B.C-Z、中山優馬と、飯島派がズラリ。
ジャニーさん直轄のKinKi Kidsも出演していたが、ジュリー派は一組も出演していない。

いずれも10時間を超す長丁場で出演者も数十組を超えるため、その顔ぶれはたいして代わり映えしない。
それだけに、ジャニーズの住み分けの徹底ぶりが目立つ。
もちろん、SMAPの草彅剛がMCで8月13日に生放送された『FNSうたの夏まつり』(フジテレビ系)でも、やはりSMAP、Kis-My-Ft2、山下智久の飯島派のみが出演。
同番組は“口パク排除”を謳うフジテレビの音楽担当・きくち伸氏がプロデューサーだったため、「嵐が出演しなかったのは口パクだからではないか」との見方も流れたが、やはり派閥抗争の結果と考えるほうが妥当だろう。

当然ながら、こうした事情はジャニーズタレントが勢ぞろいする年末恒例の『ジャニーズカウントダウンコンサート』(以下、カウコン)にも影響している。
このイベントにSMAPだけが過去に1度も参加していないことは有名な話だが、昨年は初めてSMAPの香取慎吾が登場した。
が、逆に、ジュリー派の嵐、TOKIO、V6は出演しなくなっている。
グループの垣根を超えたコラボやここでしか見られないユニットがカウコンの特色だったが、同じ派閥しかコラボしなくなっているのだ。

こうして見ると、全グループの合流は想像以上に難しい。
ジャニーズフェスなど、ほとんど不可能に近いのだ。

──もともとジャニーズ事務所は、アメリカのエンタテインメントにジャニーさんが深く感銘を受けたのが始まり。
しかしこの派閥抗争に、ファンを楽しませようという思いはまったくない。
ここはエンタテインメントの精神に立ち返り、いっそのこと飯島派対ジュリー派でガチの歌合戦でもして、抗争に決着を着けたらどうだろう。

中居正広と櫻井翔の司会対決にはじまり、SMAPが嵐の口パクをからかうかのように生歌を披露し、嵐はSMAPにないダンスのユニゾンでこれに対抗。
次世代を担う関ジャニ∞とKis-My-Ft2がトークバトルを繰り広げ、飯島派とジュリー派を代表して、脱退者である森且行と赤西仁が乱入……。
確実に盛り上がること間違いなしだと思うが、ジュリーさん、飯島さん、どうでしょう?