“武器はテレビ。”と題し、SMAPが総合司会を務めるフジテレビの『27時間テレビ』が「攻めすぎだ」と話題を呼んでいる。


というのも、スタートからSMAPの“生前葬”が行われ、森且行の脱退話から視聴率問題、稲垣吾郎や草なぎ剛の逮捕時の心境にまで踏み込むなど、ニュース性抜群の“出血大サービス”をぶちこんできたからだ。

このほかにも、深夜に香取慎吾が「(これまで解散危機が)3回か4回あった」と言い出したり、木村拓哉も「俺の先っぽ」「騎乗位」などと口走り下ネタで暴走。
番組のクライマックスでは「27曲ノンストップメドレー」を披露する予定だが、果たしてどんなサプライズが待っているのか……と期待させる構成ではある。

しかし、そうした話題性の一方で、気になることがある。それはメンバーたちの“加齢”具合だ。

昨晩、行われた「SMAP vs めちゃイケ!男だらけの水泳大会」では、芸人顔負けで体を張りお笑い水泳競技に挑んだSMAPだが、残念なことに水着は半袖+短パンで期待された肉体披露はナシ。
だが、逆に香取や中居正広は腹部のモッタリ感が強調されてしまい、中居クンは矢部浩之に「中居さんちょっと太ったんとちゃうかな」と指摘されてしまう始末。
加えて、“完璧主義”のキムタクも、ビーチフラッグ対決で岡村隆史にまさかの敗北。「めちゃイケ強えっ!」と相手を讃えていたが、内心は相当悔しかったに違いない。

さらに、深夜にビートたけしが“禁断”のジャニー喜多川の物真似を行ない、挙げ句の果てにASKAのシャブネタを展開した際には、疲れのせいか、たけしを食い止めることもできず、ただ苦笑いを浮かべるばかり。
早朝の「めざまし朝風呂」では、ファン待望のバスタオル腰巻きスタイルとなったが、企画内容は“ダチョウ倶楽部とともに熱湯風呂でリアクション芸”を見せること。
国民的アイドルが朝っぱらから上半身裸で必死に身を投げ打つ姿は、萌えるどころか涙が誘われそうな悲愴な空気さえ流れていた。

なにせ、SMAPはみんなそれなりの年齢である。
中居と木村は41歳、草なぎと稲垣は40歳、最年少の香取も37歳なのだ。
ドラマや映画ならば、アクションやシャワーシーンも演出でベストパフォーマンスを見せることもできるだろうが、生放送で、しかも27時間もの長時間を耐えなければならないのは酷としか言いようがない。
それも、本業が芸人ならば加齢も気にはならないが、あくまでSMAPは“アイドル”として振る舞わなくてはいけないのだ。
こうなると酷というよりも“残酷ショー”である。

SMAPに忍び寄る“中年”の影──。
図らずもそれをまざまざと見せつけられた思いだが、しかしながら、40代には40代の魅力というものもある。

ハリウッドのプロデューサーとして活躍する著者による『ハリウッドに「中年」という概念がないその理由 人生をあきらめない40代からの生き方』(マックス桐島/日本文芸社)には、キアヌ・リーブスやブラッド・ピットといった一流のハリウッド俳優がなぜ、40歳をすぎても輝いていられるのか、その理由が書いてある。

たとえば、「常に注目される職業」であるハリウッドの映画スターたちは「整形手術を始め、ジム通い、ヨガやピラティス、武道、ボクシング、菜食主義から和食三昧と、中年大人体型にならないために、そして、そこからの脱皮を求めて日々修練に励んでいる」。
だが、40代にとって重要なのは“若作り”することではない。
むしろ、「自分の心技体に合った、理想の「渋い男」像を頭に描いてみる」ことだという。渋さとは、話し方や身のこなし方、考え方、反応の仕方、そして人との交わり方に食べ方、笑い方、遊び方にまで多岐にわたる。

だが、SMAPの場合はどうだろう。
彼等に課せられているのは全く逆、加齢臭を懸命に打ち消した“現役”感だ。 
今回の27曲45分間のメドレー披露が典型だが、Sexy ZoneやKis-My-Ft2みたいな普通に若いアイドルでさえかなりしんどい仕事をこなさなくてはいけないのだ。

──年齢に応じた渋い自分を演出したくても、まわりがそれを許さない。
もはやSMAPは、醜さを露呈したとしても身体を張って“中年を無視”することしか期待されていない状況である。
第一、13年振りにテレビシリーズに戻ってきた『HERO』にしろ、木村はもっと渋さを漂わせていていいはずなのだ。
なのに、相変わらず若さを全面に出した跳ね上がり役というのは無理がありすぎる。

アイドルの限界を打ち破る。
それがSMAPの使命なのかもしれないが、この調子だと“不惑”ならぬ“戸惑いの40代”となってしまいそうな気配を濃厚に感じる『27時間テレビ』である。