ナチスの強制収容所で15歳で命を落としたユダヤ系ドイツ人少女、アンネ・フランクの日記や関連書籍が公立図書館などで大量に破られていた事件が波紋を広げている。


2月27日には、イスラエルのアハロノビッチ警察相の訪問を受けた古屋圭司国家公安委員長が徹底捜査を約束。
器物損壊事件とはいえ、もはや未解決では済まされない、国際的重要事件になったのだ。

「事件が掘り起こされたきっかけは、今年1月25日、練馬区立光が丘図書館の利用者からの訴えでした。
同区から隣接の自治体などに注意喚起をしたところ、都内8自治体と横浜市の計40の図書館で、300冊以上が被害に遭っていたことが次々と発覚しました」(警視庁担当記者)

なかでも杉並区は区内全域の11図書館で121冊と被害が突出しており、警視庁は2月24日、捜査本部を杉並署に設置した。
今回の犯行は短期間で組織的に行われたような印象があるが、実は、最初の被害は1年前に遡る。

「豊島区では昨年2月、千早図書館で3冊が破損しているのが見つかり、同5月に目白図書館と中央図書館で2冊ずつが見つかった。
いずれも刃物でスパッと切られており、その時点で所轄の警察署に被害届を出しました。
そして今年1月下旬に練馬区からの情報提供を受けて調べたところ、新たに千早図書館で5冊が被害に遭っていたことがわかりました。
今回は昨年のような刃物ではなく、手でビリビリに破られていました」(豊島区立図書館担当者)

豊島区内ではこの2月21日、書店でも2冊が被害に遭っていたことが発覚。
図書館以外では初めてのケースだった。警視庁の捜査はどこまで進んでいるのだろうか。

「捜査一課の特殊班が、被害管轄署から応援を受けて防犯ビデオの解析や不審人物の洗い出しをしています。
横浜の件は模倣犯の可能性があるものの、残りはおそらく都内西部に土地鑑のある同一犯とみて間違いないでしょう。
しかし、有力情報は乏しく、被害に遭った何十という図書館のホームページにアクセスした同一のIPアドレスを探すなど、砂金を拾うような地道な作業を続けているようです」(前出・警視庁担当記者)

卑劣な犯人を追いつめられるか。いまこそ、日本警察の底力が試されている。