「ダルより制球がいいうえに、フォークの落差や精度もダル以上だ。現時点では非の打ちどころのない投手だが、あのフォームは手首に想像以上の負荷がかかる。2年以内にリストを故障する可能性が高い」


あるメジャー球団の楽天・田中将大(24)に関するスカウティングリポートの一部には、こんな記述があるという。

「ダルより制球もフォークもいい」のは分かるとして、引っ掛かるのは「2年以内に手首を故障する可能性が高い」という点だ。

これまで10球団近いメジャー球団の米国人スカウトが、わざわざ日本まで足を運んで田中の投球を視察。
このスカウティングリポートは、その中のひとりによって作成されたものらしい。

どの球団のリポートかは分からない。
ただ、西海岸の代理人関係者を通じて、私の耳に入っているくらいだ。
すでにメジャーのほとんどの編成担当者は田中の手首故障説、いや、正確には故障する可能性ありとみている球団があることは知っているだろう。

米球界における田中の評価はうなぎ上り。
このコラムで以前指摘したように、ヤンキースは60億円の入札金を用意したらしいし、ドジャースはそれを上回る評価をしているとも聞く。
無敗でシーズンを終了したこともあって、入札金の相場はまさに青天井といった気配になってきた。

そこで今、代理人たちの間で浮上しているのが「田中の獲得を狙う特定球団が、あえて田中に不利な情報を流しているのではないか」という疑惑だ。
考えてみれば代理人レベルに特定球団のスカウティングリポートの中身が漏れるのはおかしな話だし、この時期にわざわざ田中のマイナス情報が流れること自体、作為的なものを感じる。
つまりマイナス情報を流すことで田中から手を引く球団や入札金を下げる球団が出てくるのが狙いだ。

「怪しいのはヤンキースさ。選手に関する情報操作は、あの球団の常套(じょうとう)手段だからね」と、代理人関係者がこう続ける。

「象徴的だったのは松井秀喜が09年オフ、ヤンキースからエンゼルスに移籍したとき。
松井が手術した両ひざは想像以上に悪く、もう守備はムリという情報を米球界中に流し、手を挙げるところがなければ、格安で獲得する意向だったそうだ。
サバシアを獲得した前年(08年)のオフも、9月に3回続けて中3日登板した反動でひじを故障しているというウワサがネット裏を駆け巡った。
出どころは少しでもサバシアの相場を下げたいヤンキースともっぱらだった」