【送料無料】新装開店「キャバクラ」の経済学 [ 山本信幸 ]
新装開店「キャバクラ」の経済学
華やかな芸能界だが、昨今は何かと世知辛い話題が多くなってきた。

例えば、ひと昔前では1日7~8件ほど開催されていた、芸能人が登場するPRイベントも
「この1年ほどで減ってしまい、1日3~4件程度。
それだけスポンサーも金を出さなくなったということなのでしょう」(ワイドショースタッフ)
という。
また、星の数ほど存在する個人規模の芸能プロダクションも、近年では少しでも経営が傾くと、さっさと見切りをつけて店じまいするケースも増加している。


そんな中、困窮するプロダクションが「売れていない所属タレント」を使って金儲けをしようと、ある試みに乗り出したというのだ。


プロダクションに所属すれば、一応は「芸能人」という扱いにはなるものの、当然それはスタートラインに立っただけのこと。
ゴールを目指すどころか走り出すことさえできずに芸能界から去っていく者も珍しくない。


「定期的に仕事をこなして、満足なギャランティを得るところに辿り着ける芸能人はほんの一握りです。
業界最大手プロでも月給制でギャラが支払われることはほとんどなく、売り上げに結びついて初めて歩合で支給されるのが通常。
しかし、これでは生活が不安定すぎるため、タレント一本でやっていくことはほぼ不可能です」(芸能プロ関係者)


 一時期は人気グラドルとして活動したものの、ついには芸能界から離脱した元女性タレントが語る。

「所属から半年足らずでとある雑誌の賞を受賞して、それからしばらくは単発の仕事が次々と入ってきました。
それでも食べていける金額には到底及ばず、事務所が手配する新規のオーディションを月に数回ほどこなし、後はアルバイトで食いつなぐ生活でした。
しかし1年もすればオーディション自体もまったく回ってこなくなって、『借金はしたくないからキャバクラでバイトがしたい』と事務所に相談したところ、あっさりとOK。
結局週5日キャバクラに出勤することになり、事務所も契約更新の時期と同時に離れることにしました」



事務所としては、タレントの離脱が続くと社会的信用を失ってしまうため、できるだけ多くのタレントを抱えていたいもの。
それが結果的に、一切稼働しない「幽霊タレント」を増加させてしまっているという。
そして不良債権と化してしまった彼らを、ついにはこんな形で活用しようとする流れまであるようだ。

「ある大手モデル&グラビア事務所が、自社で経営するキャバクラ店のオープンに乗りだすというんです。
こっそりと風俗でバイトをされるよりもキチンと管理できるし、売り上げは事務所にも還元されますからね。
元キャバ嬢というタレントも少なくないこと、世間のキャバクラへの抵抗感も薄れてきたことも、その理由かもしれませんね」(同)

“事務所主導の水商売稼業”まで登場してしまった芸能界。
成功を夢見る新人タレントも、キャバ嬢になることには動揺を隠せないだろうが、この現状にも屈せず、1人でも多くのスターが誕生してくれることを祈りたい。