iPhone4S
米アップルのスマートフォン(スマホ=多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)4S」の国内販売を同時に手がけるKDDI(au)とソフトバンクモバイルは7日、各モデルの価格や料金プランを発表した。

いずれも相手方を意識した刺激的な内容で、し烈な顧客の奪い合いが予想される。実際、両社のiPhoneは似ているようで見過ごせない違いや、意外な盲点もあるようだ。一体どっちが便利でおトクなのか、徹底比較した。

「ソフトバンクのiPhoneは通信速度が速い」と挑発すれば、
「auはつながるiPhone」と切り返す-。
ソフトバンクとauは14日の発売前からツイッター上や見本市の会場などで、相手方との「違い」を強調している。

では、両社のiPhoneはどこが違うのか。

まず端末(本体)料金は、2年契約を結んだ場合の負担額でみると、記憶容量の最も少ない16ギガバイト版は両社とも0円で並ぶ。
だが、32ギガバイト版は1200円の差、64ギガバイト版は480円の差とわずかながらauのほうが安い。

通話料金は、ほぼ横並びだ。
基本料金980円で、夜間の一定時間を除いてソフトバンク同士の携帯電話間は通話無料という「ホワイトプラン」は有名だが、auもほぼ同じプランをぶつけてきた。

これについて、携帯電話研究家で武蔵野学院大准教授の木暮祐一氏はこんなアドバイスをする。

「こうしたプランの場合、他社向けの通話料が割高になるのが注意点。普段よく通話する相手がauユーザーという人はauの、ソフトバンクユーザーが多いという人はソフトバンクのiPhoneを選ぶのも一つの手。MNP(番号ポータビリティ=携帯電話番号をそのままで電話会社を変更する制度)などを使って家族や友人で電話会社をそろえることを考えてもいいかもしれない」

一方、スマホに不可欠なデータ通信の月額(定額)料金は、auは最大24カ月間、5460円から4980円に引き下げるが、それでもソフトバンクの4410円のほうが安い。月570円の差は2年間で1万3680円になる。

ただし、ここでauの“隠し玉”が登場する。他社からMNPを使ってauのiPhoneに乗り換えた場合、1万円がキャッシュバックされるのだ。そのため、auに新規加入する人は割高感がある程度相殺される。

料金では大きな差はつかないため、判断の基準となるのはやはり、冒頭で紹介した「通信速度」と「つながりやすさ」になりそうだ。

通信速度の違いとしてネットなどで話題になっているのは、auとソフトバンクが異なる通信規格を使っていることだ。
規格上の最大速度は、auよりソフトバンクのiPhoneが4倍以上速いというのだ。

ただ、ITに詳しいジャーナリストの西田宗千佳氏は「実際のサービスで最高速度が出るのは極めてまれなので、差が出るとはかぎらない」と指摘する。現在繰り広げられている“舌戦”は、iPhone4Sで実測した値ではないことにも注意しておきたい。

ソフトバンクは両社のiPhoneの仕様上の違いを強調、「auのiPhoneは、音声通話と同時にメール受信やアプリのダウンロードなどのデータ通信ができない」と批判している。

電波状況についても、「つながりにくい」との批判が多いソフトバンクは「改善が進んでいる」とアピールする。だが、西田氏は「地方ならauのほうが強い。
特に、仕事で使う場合は音声着信の確実性がより高いauのほうが有用なシーンは多そうだ」という。一方、木暮氏は「地方都市ではauが優位だが、都心では実際に使ってみないと分からない面もある」とする。

さらに木暮氏は、金額やデータでは測定できない違いについても言及する。

「新規ユーザーにだけキャッシュバックするという姿勢からも分かるように、auは以前から既存ユーザーに冷たいところがある。ソフトバンクは既存ユーザーにも比較的公平だ。また、ソフトバンク販売店はiPhoneの扱いに慣れている。auは当初、トラブルが起きるリスクもある」

価格は互角。電波状況ではやはりauに分があるので、「通話できないと仕事に支障がある」と不安な人ならau。契約時の無用なトラブルを避けたうえで、「サクサクと通信したい」人はソフトバンクというのが結論だ。発売日は両社とも14日なので、当日、どちらのショップにより多くの人が並ぶかで契約先を選ぶという手もある。

ただし、これはあくまでも現時点での評価。同じ商品を売るにあたって、両社は今後も激烈なサービス競争を繰り広げるはずだ。そこで最も重視すべきなのは、顧客に対する企業としての姿勢。どちらが本当に顧客に優しいのか、を見極める目が重要になる。