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英雄の哲学
不振を極めてきたMLB、ヤンキースのイチロー外野手(38)が突然の大爆発だ。

先週(9月17日~23日)、6試合で25打数15安打2本塁打5打点6盗塁、打率は.600と驚異的な成績で、ア・リーグの週間MVPを獲得した。
同賞の受賞はマリナーズ時代の10年9月20日~26日の週以来、2年ぶり4度目。

特筆すべきは19日(日本時間20日)のブルージェイズとのダブルヘッダーで、1日で8打数7安打の固め打ち。19日から22日(同23日)まで、5試合連続マルチヒットとなった。
月間で見ても、9月(24日現在)は64打数26安打、打率.406と絶好調。
この勢いで、長らく2割6分台だった打率は一気にアップ。
24日現在で588打数166安打51打点9本塁打27盗塁、打率は.282まで上げてきた。

週間MVPの獲得に、イチローは「このタイミングは熱いですね。(4度目の受賞に)すごいね、オールスターより難しいんだね。毎週チャンスあるのにね」と興奮気味。

万年下位のマリナーズ時代なら、この時期は消化試合にすぎないが、ヤンキースは現在ア・リーグ東地区で、オリオールズとし烈な優勝争いをしている真っただ中。
衰えたとみられていたイチローの、この大事な時期の大爆発に、改めてその評価が見直されることになった。

こうなると、チーム自体は大歓迎なのだが、球団は手放しでイチローの活躍に喜べないというのだ。
その理由は来季の契約問題。今季はマリナーズと5年契約の最終年だったが、事実上はヤンキースへのレンタル移籍のようなもの。
イチローの今季年俸は1800万ドル(約14億4000万円)といわれているが、そのうち、ヤンキースが負担したのは225万ドル(約1億7500万円)程度とみられている。

ヤンキースは今季、外野手に故障者が続出したため、イチローはその補てん的な補強の意味合いが強かった。
来季には故障者も復帰する見込みだ。
果たして、10月に39歳になるイチローと来季も契約を結びのか、残留するならどの程度の年俸になるのかは、今季の働きによる判断だった。
これまでのパッとしない成績なら、そのジャッジも簡単だったが、優勝争いが佳境を迎えた大事な局面で爆発されると、難しい判断を強いられ、球団としては頭が痛いところ。

この件に関し、スポーツジャーナリストのA氏は、
「ヤンキースは来季も契約するかどうか悩むところでしょう。
残留するとしたら、さすがに、1800万ドルも払うわけにはいかず、大幅減俸は必至。
問題はどの程度の年俸を提示するかですが、ここ最近の活躍で、評価を上げざるを得ず、頭を悩ませる事態となったのは間違いありません」と語っている。

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